スポーツの世界では、本番前に必ずといっていいほど
イメージトレーニングを行います。
イメージによるトレーニングというのは、
私たちの苦手な行動を容易にしてくれる効果があります。
なぜイメージによって行動が容易になるかというと、
私たちの脳には、現実とイメージを区別できない、
という性質があるからです。
つまり、頭でイメージした出来事も、
現実に起きた事と同じように受け取ってしまいます。
ですので、パニック障害の人は、電車に乗ることをイメージしただけで、
心臓がドキドキし、汗が吹き出してくることになります。
これは、頭でイメージした事と現実に起きていることが
区別できていないからです。
今挙げた例は、悪い方へのイメージでしたが、
これを良い方へ活用し、自分が苦手な場面、緊張場面になっても
すんなり適応できるようなイメージを身につけ、
ものの考え方や感じ方を変えていく方法が、催眠療法です。
催眠療法というと、催眠術と誤解する人も多いですが、
テレビなどで見かける催眠術は、
催眠効果の中でも、最も簡単な「運動支配」というものです。
催眠術師が、
「あなたは目が覚めると、立ち上がることができなくなります」
などと行うパフォーマンスの事です。
催眠療法では、それよりももっと深い
「感覚支配」や「記憶支配」が重要になってきます。
人間には顕在意識と潜在意識の2つの心があります。
普段は、自分自身ではっきり自覚している顕在意識が、表面に現われており、
潜在意識は、その奥深くに沈み込んだままで、
自分の潜在意識を知ろうと思っても、
なかなか分からない状態になっています。
しかし、その潜在意識が、僅かに垣間見える時があります。
それは夢を見ているときです。
普段の感じたり、考えたりする顕在意識が、
眠った状態になり、活動が弱まる事により、
心の奥底に沈んでいた潜在意識が僅かに見えるようになります。
催眠療法とは、患者さんを上記のような眠った状態、
いわば催眠状態という心理状態にすることで
潜在意識に直接働きかけ、プラスのイメージを植え付ける事です。