人間は生きている間には、必ず悲しい出来事に遭遇してしまいます。
そして、その中の代表的な悲しみというと、
愛する人、大切な人を失う事でしょう。
こうした悲しい出来事は、上手に付き合い、対処していかないと
その後、心の向きが歪曲してしまい、うつ病になってしまう可能性もあります。
ですので、健全に、正しく、悲しみに向き合っていく必要があります。
まず、大切な事は、
悲しい時には思いっきり悲しむ
という事です。
いつまでも現実から目を背けていたり、
悲しいという気持ちを無理に押し殺してしまうと、
かえって悲しみを長引かせることになってしまいます。
最初の段階で、悲しみとキチンと向かい合って、認めていかないと、
次の立ち直る段階に進む事ができません。
自分の心に素直になって、悲しみを十分に受け止めて、
それを認める事が大切です。
ひとりで悲しみに向き合っていると耐えられないという人は、
家族や友人と分かち合う事も大切です。
失った人の思い出を、家族や仲間と一緒に語り合う事も
悲しみから立ち直る重要なプロセスとなります。
悲しくて寂しくてたまらない時には、
その気持ちを誰かに打ち明けて心の支えになってもらいましょう。
また、大事な人を失った時の感情は、「悲しみ」だけではない場合もあります。
失った人に対して、何もしてあげられなかったという無力感、
自分を残して一人で去ってしまった事に対する怒り、
また、長い間介護をしていた時には、ほっとした安堵感、
そして、そんな気持ちを持ってしまう自分自身に対する罪悪感、
などなど、さまざまな感情が湧いてくる事もあるでしょう。
しかし、こうした気持ちも無視しないで、全ての感情を認める事が重要です。
そして、通夜や葬式、法事といった儀式も大切にしなければいけません。
このような伝統的な行事は、悲しみを受け止める場となり、
そして、新たな人生の出発の起点となる重要な区切りとしての役割も持ちます。
悲しみを受け止め、消化し、心の整理を徐々につけていくようにすれば
その後は悲しみを引きづる事もなく、
うつ病のような心の病気にもかかりにくくなります。