両親や配偶者、恋人や親友など、自分にとって大切な人を失う事ほど、
悲しいことはありません。
悲しみが深いと、眠れない日々が続いたり、食事も満足に摂れなかったり、
何もやる気が起きなかったり、空虚感や不安感に襲われたり、
うつ病と似たような症状が現れるケースもあります。
しかし、こうした症状は悲しい出来事を経験した時には
誰にでも起こる正常な反応です。
特に治療を受けなくても、数か月という時間を経過していけば、
自然と収まり、徐々に気持ちも立ち直っていくものです。
しかし、人によっては何か月経っても、その悲しみから抜け出せなかったり、
もしくは、大切な人を失った直後には何ともなかったが、
何年か経ってから、悲しみや虚しさが襲ってくる場合もあります。
また、時には悲しみという感情ではなく、体調の悪化という形で
その人に変化をもたらす事もあります。
このような症状が起きた時には、単なる悲しみではなく、
うつ病になってしまった可能性も考えなければいけません。
大切な人を失った悲しみ、喪失感から正しく立ち直る事ができず、
いつまでも引きづっている状態からうつ病が発症したケースと言えます。
実は、こうした悲しみから立ち直るには
3つのプロセスを踏まなければいけません。
その3つのプロセスとは、
「否認」「絶望」「脱愛着」
です。
否認
大切な人を失うと、まず最初に、
「信じられない」
「嘘でしょ。。」
といった否認の気持になります。
事実を認めたくない初期の段階です。
絶望
次に、現実に直面し、悲しみの感情が沸き起こり、
自分の置かれた状況に絶望するようになります。
脱愛着
そして、時間をかけて十分に絶望すると、
その人への愛着からしだいに脱し、
新たな関係に向けて心を開いていく事になります。
こうしたプロセスを適切に進めていく事によって、
ようやく悲しい出来事から立ち直る事ができます。
ほとんどの人は、無意識のうちにこのような手順を踏んでおり、
徐々に悲しみから解き放たれるようになるのですが、
人によっては、相手を失ったことを認めようとせず、
上記のプロセスのうち、「否認」の段階で止まったままの人もいます。
それ以外にも、「絶望」の段階から抜けきれなかったり、
もしくは、「絶望」の段階であるにも関わらず、
生活優先の為に、無理やり「絶望」から脱しなければいけないケースもあります。
そうなると、悲しみから立ち直るための3つのプロセスを適切に踏んでいないので、
うつ病を招く危険性が高くなってしまいます。