うつ病の患者さんを持つ家族の役割としては、
その様子の変化を観察することがとても重要となります。
うつ病の程度にもよりますが、通院して治療をしていく場合、
だいたい1~2週間に1回くらいの割合で病院へ行くことになると思います。
その際には、自宅での患者さんの様子をよく観察しておいて、
容態の変化などを担当医に具体的に伝えておくと、
その後の治療を進めていくうえでは、大いに役立つはずです。
例えば、
朝、何時に起きて、朝食はちゃんと摂ったのか、
睡眠時間はどのくらいなのか、
自主的に何かをしているのか、
表情の変化が見られるのか、
薬を服用してどう変化していったか、
といった情報は、家族だけが知ることができる重要な情報です。
特に、抗うつ薬などの薬の服用の情報は、
その後の薬の量の増減を決める際の重要な判断材料となりますので、
注意して観察しておきたいものです。
やはり、患者さん本人だけの情報だと、
「早く治したい」
「迷惑かけたくない」
「うつ病だとは今でも信じていない」
といった “焦り“、”間違った先入観“、”歪んだ認知“などで
正しい情報が得られない場合も多いです。
患者さんが、
「良くなってきた」
といっても、家族の目にはそうは映っていないこともあります。
また逆に、患者さんが
「全然良くならない」
と思い込んでいても、家族から見ると、
「顔色が良くなってきた」
「話しているときに笑顔が見えるようになってきた」
など、表情の変化に気づくこともあります。
家族が冷静で客観的な立場で、観察した情報を担当医に提供することは、
治療を適切に進めるためには、とても重要なことと言えるでしょう。