私達人間というのは、目の前に広がっている現実世界を
ありのままに見ている訳ではありません。

五感から入ってきた情報を脳の中に取り入れて、
それを自分なりに“解釈”して見ています。

つまり、人間は必ず“認知”という心のフィルターを通してから
現実世界を見ています。
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そして、現実世界を自分なりに解釈する事を「自動思考」といいます。

人間は出来事、物事、ニュースなどの情報に直面した場合、
心の中で自分なりにその情報を解釈しますが、
その瞬間的、無意識的な解釈を自動思考と呼んでいます。

例えば、
先生から「宿題があります」と言われると
誰でも瞬間的に無意識的に「嫌だなぁー」と思うでしょう。

好きな人から告白されれば、
誰でも瞬間的に無意識的に「嬉しい!」と思うでしょう。

こうした瞬間的に浮かんでくる自動思考というのは、
基本的には人によってそれほど違ってくるものではありません。

誰でも似たような感情を持ち、誰でも似たような心境になるものです。

しかし、うつ病の患者さん、もしくは、うつ状態の人というのは、
こうした自動思考が一般的な認識ではなく、
非現実的で非適応的なものが多くなってきます。

たとえば、仕事のプレゼンテーションで失敗した場合、

「今回は準備が足りなかったからだろう」

と考え、失敗の経験を生かして、
次のプレゼンテーションに向けて新たに計画、修正をする事ができれば、
その自動思考は現実的で適応的なものであるといえるでしょう。

しかし、うつ状態で認知が歪んでいる人の場合は、

「自分は何をやっても失敗する人間なんだ」

と考えてしまい、自信を失って次の仕事のやる気も無くしてしまいます。

このような一般とは違う、非現実的で非適応的な自動思考は
その後の行動を妨げたり、狭くしたりしますし、
気持ちもますます落ち込ませる結果を招いてしまいます。
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あなたの自動思考は適切ですか?

うつ病にならない為には、
このような間違った自動思考を修正していく必要があります。

つまり、自分の自動思考が現実的であるかどうかを常に検討して、
その偏りやクセを見つけて、現実的なものへ修正していかなければいけません。

その為には、何か悲観的な事を考えた場合、

「本当にそうなんだろうか?」
「自分の解釈は現実的なんだろうか?」

と視点を変えて、自分自身に問い直してみる事が大切です。

自動思考というのは、文字通り自動的に浮かんでしまうので、
つい信じ込み、その気持ちに流されてしまいがちになりますが、
ワンクッション置いて、一歩下がって、

「ちょっと待って。本当にその気持ちで正しいのか?」
「感情に流されて正しく出来事を捉えていないのでは?」

と自分の判断がどのくらい現実的なのかを確かめるようにしましょう。

誰にでも多少は非現実的で悲観的な自動思考は持っているものですが、
あまりにも偏った自動思考は気持ちの落ち込み、
ひいては、うつ病の発症に深く関わってきます。

自分がどれだけ非現実的な自動思考なのか、
できれば家族や仲間と話しながら気づく事ができれば理想的ですね。