自律神経失調症は、人によって表われてくる症状はさまざまですし、
その程度も、軽症のものから重症のものまで個人差があります。
ですので、病気を克服したとか、完治したとかの基準も
その人に合わせていかなければならず、曖昧な部分も多いです。
例えば、風邪で熱が出たというのなら、
熱が通常の範囲に収まってくれば治ったといえますし、
骨折ならば骨がつながれば治ったといえます。
しかし、心の問題も含む自律神経失調症は、
本人の気持ちの問題が優先されますので、患者さん自身が
「まだ時々症状が出るけど、気分的に楽になったし、
体調も元通りになったから、回復できたんじゃないかな」
と思えば、それで治癒できたと捉えても良いでしょう。
たとえ症状が出たとしても、患者さん自身でうまく対処できるようになっていれば、
それで治療が完了する場合もあります。
このような心に起因する病気は、誰でもなりたくないですし、
「もし再発したらどうしよう」
と考えてしまいます。
実際、通常の生活に戻ってから、
以前のようなストレスや緊張、疲労などが蓄積される生活を過ごす事になると、
身体的症状や精神的症状が再び表われてくることもあります。
しかし、一度克服できた体験をすると、
どうしたら良くなるのかが、自分自身でも分かっているので、
必要以上に恐れる事がなくなります。
「もしも以前のような症状が出ても、その病気の仕組みは分かっているし、
その対処の仕方、治療の受け方も分かっているから、全然大丈夫」
と気持ちに余裕を持つこともできます。
病院などで治療を受けているときに、その過程を覚えておけば、
仮に調子が悪くなったとしても、
以前よりもずっと順調に早く改善されることも多いです。