例えば、家族全員が東大出身で、自分も当たり前のように東大を目指し、
家族全員の期待とプレッシャーを一身に背負い、
絶対に東大に合格しなければいけないと考えている受験生にとって
東大に不合格になることは、とてもショックな出来事です。
このショックは、東大以外の大学に合格していたとしても
癒されることはないでしょう。
しかし、最初から東大以外の大学でもいいと考えている受験生にとって
東大に不合格になることは、それほどのショックではないでしょう。
東大の受験に失敗したという事実は同じなのにも関わらず、
その人の考え方によって、それが過度なストレスになるのか
それとも一過性のストレスのみで終わってしまうのかが違ってきます。
つまり、期待していた水準が高ければ高いほど、
それが裏切られたときのショックやストレスは大きくなるといえます。
過剰な期待を持っている人は、少しの失敗でも強く受け止めてしまいます。
それに対して、最初からあまり期待していなければ、
多少の失敗など気にならなくなり、
簡単にそのショックやストレスを乗り越える事ができます。
このように何をストレスと感じるかは、
その人の心の持ち方や期待度の高さによって異なってきます。
ですが、だからといって物事に対して何も期待しないことが
良いというわけではありません。
何も期待しない人生なんてつまらないものになってしまいます。
ある程度、自分の許容範囲内の期待感がなければ、
努力して何かを成し遂げようとする情熱も生まれてきません。
問題となるのは、過剰な期待や願望を持つことであって、
期待や願望を持つこと自体は悪いことではありません。
適量の期待や願望であれば、人生を前向きに進める原動力になってくれます。
しかし、過剰な期待や願望は、それが裏切られた場合、
反動から過剰なストレスに変わってしまい、
ひいては、うつ病などの病気になってしまう可能性もあります。