自律神経失調症は、身体に現れる症状だけでなく、
精神面にも症状が現われることが多く、
その根本的な原因にも、心の問題が深く関わっていることが多い病気です。
ですので、その治療、克服には、身体へのアプローチだけでなく、
精神へのアプローチも必要になってきます。
薬物療法を行う場合でも、自律神経に働きかけて身体症状を改善させる薬と、
緊張感や不安感を和らげて、精神を安定させる薬の両方を用いる事が多いです。
患者さんひとりひとり、現れる症状が違いますし、それぞれ性格も違います。
生まれつき自律神経のバランスを崩しやすい体質の人もいますし、
環境的な問題でストレスを多く抱え込んでいるケースなどもあります。
ですので病院では、その人にあった効果的な複数の治療法を
組み合わせて治療するのが一般的です。
患者さんの立場からすると、根本的に治したいと願っている事はもちろんですが、
まず今起きているつらい症状を取り除いて欲しいという気持ちも強いものです。
ですので治療においては、まずその症状を和らげることが何より優先されます。
例えば、緊張すると腹痛や下痢を起こしやすい人の場合、
とりあえずは腸の働きを整える薬を服用して
症状を抑えることができれば、不安感を少なくする事ができます。
人によっては、身体に現れる症状を気にするあまり、
より症状が悪化してしまい、悪循環に陥っている場合もあります。
そうした悪循環を断ち切るためにも、
症状を和らげる薬や不安を緩和する薬を服用する事が必要となります。