うつ病の治療にはSSRIなどの抗うつ薬を用いるのが基本ですが、
患者さんの症状によっては、別の薬を併用する事もあります。
今回は、抗うつ薬以外でどのような薬が用いられるのか、
代表的なものを幾つか紹介したいと思います。
抗不安剤
患者さんによっては、自分がうつ病になってしまった事で、
「これから仕事をどうやって続けていけばよいのか」
「本当にうつ病を克服する事ができるのか」
など、自分の将来に対して悲観的になってしまい、
焦りや不安で精神的に参ってしまうケースも有ります。
そのような時には、抗不安剤を用いる事で
不安・焦燥感を和らげて、体の緊張も解きほぐす事ができます。
うつ病そのものを治す効果はありませんが、
不安感が強い時に、一時的に用いる場合もあります。
このような抗不安剤は、副作用がほとんどないですが、
精神的に依存しやすくなりますので、
必要以上に長期間にわたってダラダラと飲み続けないように
注意しなければいけません。
睡眠薬
うつ病の症状の一つに不眠があります。
不眠状態が続くと、うつ病の治療にも悪影響が出てきますので、
そのような場合には、睡眠薬を併用するケースも有ります。
睡眠薬というと、世間的には割と一般的なイメージがありますが、
実際には、依存性も副作用もあり、取扱に注意しなければいけない薬です。
服用を急に中断すると、不眠症状が再発したり、
時には以前よりも、もっとひどい不眠症状を招く危険性もあります。
また、服用を続けていくと、精神的な不安感が増していく場合もあります。
あくまでも一時的な服用にとどめておくべきです。
漢方薬
うつ病の症状が比較的軽く、精神的な症状よりも身体的な症状の方が目立ったり、
または、抗うつ薬の副作用が強く出てしまい、服用が続けられない時には、
漢方薬だけで治療する場合もあります。
また、患者さんの症状によっては、抗うつ薬の副作用を抑える目的で、
あるいは、治療効果を高める為に、抗うつ薬と漢方薬を併用する事もあります。
抗うつ薬の副作用が気になる患者さんの中には、
「漢方薬だけで治したい」と希望する方もいらっしゃるようですが、
うつ病の症状が重い場合、漢方薬だけではその効果は
あまり期待できないかもしれません。
以上、うつ病治療に用いられる、抗うつ薬以外の代表的な薬を紹介しました。
どのような薬を処方されたとしても、医師からの説明を受けて、
その効用や副作用について、自分で理解したうえで服用するようにしましょう。