うつ病の治療に用いられるSSRIについては、
若者への投与に関しては、さまざまな議論が交わされています。
2006年には、若者層へのSSRIの投与は、「禁止」から「慎重投与」へと
制限が緩められましたが、この時には大きな議論が起こったそうです。
最近では、
「SSRIの1つであるパキシルの投与によって、
僅かではあるが、他者への攻撃性が高まることが確認されている」
という報告もあります。
こうした状況を考えると、
安易に薬に頼るのは問題なのかもしれません。
しかし、どんな病気であっても、
治療薬の投与にはそれなりのリスクが付きまとう、
ということはいえます。
抗がん剤などでも、強い副作用が現れるものがあり、
リスクをおして抗がん剤を投与しても、
残念ながら、命が助からないこともあります。
しかし、だからといって、抗がん剤を使ってはいけない、
という議論が起こることはありません。
大切な事は、その薬を投与する事によるメリットと危険性を
冷静に分析する事です。
そして投与に際しては、危険性がどの程度現れるのかを
医者の立場できちんと見極めながら、投与をコントロールしていくことです。
何も議論せずに、危険だから禁止と決め付けてしまうのは、
うつ病から患者を回復させていく道を無意味に狭めてしまう事にも
なりかねませんので、慎重な対応が求められます。