うつ病治療の基本は、薬物療法と休養です。

そして、薬物療法というのは、抗うつ薬を服用する事です。

抗うつ薬は沈んだ気分を晴らすだけでなく、意欲を高めたり、
不安や焦りを落ち着かせる作用があります。

また、不眠や食欲不振などの身体的な症状にも効果を発揮しますので、
うつ病治療には欠かせない薬となっています。

では、その抗うつ薬にはどのような種類があるのかというと、
その化学構造の違いによって
三環系抗うつ薬
四環系抗うつ薬
SSRI
といったグループに分ける事ができます。

それぞれの薬には、特徴がありますので、
患者さんとの相性、容体を見ながら、
医師が処方する抗うつ薬を決める事になります。
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三環系抗うつ薬は効果は高いが副作用も強い

三環系抗うつ薬は、化学構造式の中に3つの環があることから、
この名前がついています。

もっとも古くからあるタイプの抗うつ薬であり、
現在でもうつ病治療に用いられています。

その特徴は、ほとんどのうつ病患者さんにかなりの効果が期待できることです。

しかしその反面、強い副作用も出やすいです。

主な副作用としては、

    ・口の渇き
    ・便秘
    ・排尿困難
    ・目のかすみ

などが挙げられます。

その他にも、自覚症状がなくても、
心臓や肝臓に障害が起きてしまう事もあるため、
この薬を服用する時には、定期的に血液検査や心電図検査を
行う必要があります。

三環系抗うつ薬を改良した四環系抗うつ薬

四環系抗うつ薬は、化学構造式の中に4つの環があることから、
この名前がついています。

先に紹介した三環系抗うつ薬は、確実な効果は期待できますが、
デメリットとして、強い副作用が挙げられます。

うつ病患者さんの中には、その副作用に耐えられなくて、
服用できない人もいます。

そうした点を考慮して、
三環系抗うつ薬の副作用を減らす目的で開発されたものが四環系抗うつ薬です。

ですので、効果も副作用も三環系抗うつ薬と比較すると、やや軽くなっています。

副作用が少ないSSRI

SSRIは日本語名は選択的セロトニン再取り込み阻害薬と言われていて、
こちらの薬も副作用が少ないのが特徴です。

口の渇きや便秘などはほとんど起こらず、心臓への負担も少ないために、
三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬などを服用できない患者さんにも
処方する事ができます。

なぜ副作用が少ないのかというと、
三環系抗うつ薬は、脳内の情報伝達の為に使っている
アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、ノルアドレナリンなどの
複数の神経伝達物質に作用するのに対して、
SSRIは、セロトニンという神経伝達物質だけに作用するからです。

つまり、セロトニン以外のアセチルコリン、ヒスタミン、ノルアドレナリンに
関連する副作用が起こらないわけです。

この点はSSRIの長所でもありますが、
やはり副作用が少ない分、効果も限られてきます。

一般的には、軽度のうつ病の人には、有効なことが多いですが、
中程度以上の患者さんになると、やはり三環系抗うつ薬でないと
効果が期待できない事もあります。