高齢者のうつ病は認知症と間違われる事が少なくありません。
物忘れが目立つようになった、日時や自分の居場所があやふやになる、
ぼんやりとして反応が鈍い、無表情になるなど、認知症に似た症状が
出ることがあり、これを「仮性認知症」と読んでいます。
高齢者がうつ病になってしまうきっかけは、定年退職や近親者の死別など、
その人の人生の中で、今まで当然に存在していたものを急に失ってしまった事が
原因で発症してしまうケースが多く見られます。
このような場合の、寂しさや悲しみといった感情は自然なものであり、
病気ではありませんが、そういった落ち込んだ精神状態が長く続き、
眠れない、食欲がない、物忘れがひどくなった、そして、
「こんな自分なんて生きていても仕方ないのではないか」などと考えるように
なってしまった場合、うつ病を疑った方がよいかもしれません。
また、高齢者は身体的な衰えだけでなく、脳の老化も起こります。
その為に、ストレスに対する抵抗力が落ちてきて、ちょっとした小さなことで
精神のバランスを崩してしまい、それがうつ病のきっかけになってしまうこともあります。
何かしらの変調、不眠や食欲不振、疲労感といった症状がおきても、
「老化だから」と考えて受診せず、うつ病を見逃してしまうことも多いので、
周囲の人がつねに見守ってあげることが重要です。