うつ病の症状には、人間の脳内における神経細胞同士の情報のやり取りが
密接に関係しています。
そうした神経系がどのような仕組みになっているのか、
簡単に説明してみましょう。
神経系というのは、神経細胞から軸索というものが伸びていて、
その先に神経終末という組織が存在しています。
この軸索と神経終末の構造を「シナプス」と呼んでいます。
軸索というのは、例えるならば電線のようなもので
神経細胞からの信号が次の神経細胞へ伝わっていく時、
軸索の中では電気的な信号として伝わっていきます。
この電気的な信号がシナプスの神経終末までくると、
今度は、別の神経細胞へ信号を伝える事になるのですが、
その時の信号を受け取る部分を受容体といいます。
そして、おもしろい事に、シナプスの神経終末から
次の神経細胞の受容体へ信号が伝達される際には、
軸索の中のような電気的な伝わり方はしません。
では、どのようにして神経細胞間でやり取りがされるのかというと、
神経終末と受容体の間には、ほんの僅かの隙間があって、
この部分については、神経終末から神経伝達物質が放出され、
その物質をもう一方の神経細胞が受容体によって受け止めるようになっています。
このような仕組みによって、神経細胞間の隙間を信号が途切れる事なく
伝わっていく事ができています。
そして、この神経細胞間の隙間を伝わっていく神経伝達物質の一つに
セロトニンがあります。
神経終末から放出されたセロトニンは、
隙間を泳いで受容体に辿り着くわけです。
うつ病になると、この放出されるセロトニンが
減少することが確認されています。
ですので、うつ病の治療においては、
セロトニンが減ってしまわないように対処しなければいけません。
そして、このセロトニンの減少を防ぐ役割をしているのが
SSRIという抗うつ薬です。