うつ病に関しては、今となってはかなり認知されてきていますが、
それでもなお、特別視されている事は事実です。
うつの悩みを軽視したり、単なる怠け癖であると
片付けてしまうことが、いかに危険であるか、
本人も周りに人も理解しておく必要があります。
うつ病という病気自体は、何十年にわたって研究されてきていますが、
いまだにこれといった決め手が見つかったわけではありません。
医師によっては、自律神経の中枢が関係していると考えていますし、
別の医師は、うつ状態と躁状態の両方を持つ場合と、
うつ状態だけの場合とでは、別の病気ではないかと考えています。
また、うつ状態がどのくらいの期間続くのかについても
決まった公式があるわけではありません。
もう治らないと思えるほどに長期間にわたる場合もありますし、
ちょっとした気持ちの持ちようで簡単に克服できる場合もあります。
本人の性格、社会環境、家庭環境などそれぞれの事情によって
個人差が出てくるといえます。
うつの要因の1つにストレスがあります。
ストレスとは歪みの事です。
硬い金属でも、何度も折り曲げたり、圧力をかけ続けると
やがては金属疲労を起こし、折れてしまいます。
この圧力による歪みがストレスといえます。
そして、ストレスといっても、その種類は無数にあります。
ストレスを生じさせる原因のことをストレッサーといいますが、
それは日常生活の中では、限りなく存在します。
人間関係はもちろんの事、気温の寒暖といった自然環境の変化も
ストレッサーと呼ばれます。
ストレスの判断の難しいところは、何に対してストレスを感じるかは、
人によってかなり違ってくる事です。
何がストレスとなるかは、個人の事情によって変わってくるわけです。
例えば、同じ温度でクーラーを設定しても
それを「全然効いてない。まだまだ暑い」と感じる人もいれば、
「寒すぎる」と感じる人もいます。
パソコンに向かって一日中作業をすることに何の苦痛も感じない人もいれば、
椅子に座ってじっとしている事に耐えられない人もいます。
ですので、自分の感覚だけを頼りに判断すると、
「こんな楽な環境なのに、あの人はもう弱音を吐いている」
と非難めいた感情が起こってきます。
誰にでも快適な社会環境、人間環境、というものは存在しません。
ストレスの原因は、人それぞれ違っている事を理解して、
適切な対処をしていくことが必要となります。