セロトニン神経は、交感神経に適度な興奮を与えます。

 

人の体には自律神経と呼ばれるものがあります。
そしてその自律神経は、
交感神経と副交感神経という2つの神経に分けられます。

 

自律神経というのは、私たちの意志とは関係なく働いてくれる神経です。

 

例えば、私たちの体はものを食べると、
消化器官が勝手に消化して、勝手に栄養を吸収してくれます。

 

こうした活動は、私たちは自分たちの意思で、
動かしたり、止めたりすることはできません。
こうした意識的にコントロールする事ができない働きを
行ってくれているのが、自律神経です。

 

この自律神経もセロトニン神経と同じように、
睡眠と覚醒のサイクルに合わせて変動します。

 

覚醒している時は交感神経が優位に働き、
眠ると副交感神経が優位に働くようになっています。

 

そして、副交感神経から交感神経へのスイッチングには、
セロトニン神経の規則的なインパルスが重要な働きをします。

 

そのため、セロトニン神経が弱まり、規則的なインパルスに乱れが生じてしまうと、
自律神経のスイッチングにも乱れが生じ、自律神経失調症になってしまいます。

 

そうなると、めまいや立ちくらみなどの症状が出ることもあります。

 

ここで注目すべきは、
セロトニンが交感神経を「適度に」興奮させるという事です。

 

交感神経が非常に強く活性化した状態というのは、
つまりは、「ストレス状態」といえます。

 

例えば、私たちが何か激しい運動をしたり、精神的に興奮しているときには、
心拍数は1分間に120~180回くらいまで上昇します。

 

いわゆるドキドキした状態ですが、これが交感神経が強く活性化した状態であり、
ストレスが強く加わった状態のことです。

 

それと比較して、「適度な」興奮状態とは、どのようなものかというと、
その良い例が、朝のすっきりとした目覚めの状態の事です。

 

寝ているとき、私たちの心拍数は1分間に50程度しかありません。
それが目覚めると、70~80回くらいまで上昇します。
これは明らかに交感神経が興奮している状態ですが、
それは運動した時のような激しい興奮ではありません。

 

穏やかですが、活動する準備の整った状態のこと、
それが交感神経の「適度な」興奮状態であり、
セロトニン神経は、その適度な興奮状態を与える役割も持っています。