1980年代に入ってから、SSRIという薬が登場しました。
代表的なものとしては、
フルボキサミン(商品名ルボックス)
パロキセチン(商品名パキシル)
セルトラリン(商品名ジェイゾロフト)
などがあります。
これらの薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬といわれていて、
その名前のとおり、セロトニンの再取り込みだけを阻害します。
つまり、それ以前の薬である三環形抗うつ薬や四環形抗うつ薬のように、
ノルアドレナリンの再取り込みという作用は起こりません。
ですので、処方する医師の立場からしてみると、
薬によってセロトニンとノルアドレナリンの働きが脳内でどのように変化して、
どのように効いているのか、分かりづらい、という状況を排除することができ、
その点では、画期的な薬といえます。
このSSRIの登場によって、うつ病の治療は飛躍的に進歩して、
世界中でうつ病治療の第一選択薬となっています。
しかし、患者さんによっては、
SSRIよりも従来の三環系の方が効果的な場合もある、
という指摘もあります。
現在でもまだ、
うつ病の薬が脳内でどのように作用しているか、
については分からない事も多く、
患者さんによっては、その効果に個人差が生じる事もあるそうです。
とはいえ、SSRIが第一選択薬という傾向は間違いなく、
三環系抗うつ薬はあくまでも補助的に処方されるというケースが多いようです。