抗うつ薬とは、脳内に働きかける薬で、神経伝達物質がもとの細胞に取り込まれるのを阻害し、
情報伝達にたずさわる神経伝達物質を減らさないように作用するものです。
主な抗うつ薬としては、SSRIやSNRIなどがあります。
それぞれ簡単に説明しますと、
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
現在日本の臨床で一番よく使われている抗うつ薬です。
1980年代に登場した薬ですが、副作用が少なく治療効果が高い為、
それまでに使われてきた抗うつ薬にとって代わるようになりました。
商品名としては、パキシル、デプロメール、ルボックスなどがあります。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
これは、SSRIよりも更に新しい薬で、より高い効果が期待され、
数種類の薬の開発が進められています。
商品名としては、トレドミン、サインバルタなどがあります。
これら抗うつ薬が効果を発揮する部分は、
脳内のシナプスと呼ばれる神経細胞どうしの接合部です。
シナプスでは、1つの神経細胞から放出された神経伝達物質が、
もう1つの神経細胞の受容体に結合することで、
「痛い」や「お腹がすいた」などの情報の伝達が行われています。
放出された神経伝達物質はその役目を終えると、
トランスポーターという部分から元の神経細胞内に
もう一度取り込まれ、神経伝達物質が余分に放出されるのを
ストップさせる働きがあります。
SSRIやSNRIには、この神経伝達物質を再び取り込む扉である
トランスポーターをブロックして、
情報伝達に携わるセロトニン、ノルアドレナリンの量を一定に保つと同時に
神経末端からのセロトニン、ノルアドレナリンの放出をストップさせないように
働きかけます。