ストレスという言葉は、もともとは物理学用語です。
柔らかいゴムボールを指で押すと、
ボール全体が大きく歪みます。
同時に内側からの反発力も生じます。
ストレスとは、この圧力による歪みを表す言葉です。
これを人間の生体に加えられた刺激と反応に当てはめて考え、
ストレスに関する研究を集大成したのが、
カナダの生理学者であるハンス・セリエという人です。
セリエ氏は、大学病院の勤務経験から、
人間が受けるストレスはさまざまだが、
ストレスを受けた時の人間の反応は、ほぼ同じであることに気づきました。
そこで唱えたのが、
「ストレスを受けた時、人におこる反応は常に一定である」という
ストレス学説です。
セリエ氏以降は、ストレスとは、
「生体をゆがめる反応」
という意味に使われるようになります。
そういうと、ストレスは全て悪いように思われてしまいますが、
決してそういうわけではありません。
セリエ氏は、「ストレスは人生のスパイス」とも言っています。
スパイスしかない料理なんて食べられません。
しかし、スパイスなしの料理は味気ないです。
同じように、ストレス過剰の人生はつらいものです。
しかし、ストレスの全くない人生はハリがなく、
逆に心身の健康を損ねてしまいます。
適度なストレスは、心にハリをもたせ、
活動意欲を引き出してくれるものなんです。
ストレスが全くない人生は有り得ません。
大小さまざまなストレスを受けながら生きていかなければなりません。
過度なストレスは、上手にかわす、受け流すというのが
賢い生き方だと思います。