現在の吃音改善法の弱点
現在、吃音を改善するために使われている主な方法は以下の3つです。
1.発語気管のトレーニング
腹式呼吸法を習得するためのトレーニングや、
特殊な器具や機械を使い横隔膜の動きを矯正するトレーニング、
そして、口の形や動きを矯正するためのマウスピースを使ったトレーニングなどです。
これらは、「吃音は身体的なところに原因がある」ということを前提としており、
身体の発語気管を鍛える事により、吃音を改善しようとしています。
しかし、中村先生はこれまでに、150人以上の、こうしたレーニングを
行ってきた吃音者と接する機会がありましたが、改善できたという人には
未だ出会ったことがないと仰っています。
また中村先生自身も、過去にこういったトレーニングは一通り行った経験がありますが、
なんら改善につながるものはなかった、と告白しています。
逆に、こういったトレーニング自体が吃音を益々強化させてしまっている
とも仰っています。
2.「SSRI」という薬
これは、飲むと脳の興奮や緊張が抑えられ、
普段よりも、どもらずにしゃべることができるという、効果的な薬です。
しかし、このSSRIという薬は、本来の目的は、うつ病やパニック障害、
強迫性障害などの精神病による症状を抑えるためのものとして開発された薬です。
うつ病の患者さんに対して、病院で処方される薬です。
ですので、これを服用することは、副作用の危険性があります。
報告によれば、吐き気や嘔吐、下痢や食欲減退などの副作用が報告されています。
できればそういった薬には頼りたくないでしょうし、
もしかしたら、薬なしでは生活ができなくなってしまう可能性も十分に考えられます。
3.セラピーや催眠療法
心理セラピストや催眠療法士による専門的なカウンセリングを受ける事によって、
症状の改善を図ろうとするもので、この試みは間違ってはいないと思います。
これによって、症状が改善した人の話も聞きます。
しかし、これにはたくさんの問題があります。
まず、カウンセリングを受ける事自体わずらわしい、という問題です。
たった一度のカウンセリングで改善できる訳ではないので、
当然何度も足を運ぶ必要があります。
そして、対面指導のため、どうしても費用が高額になってしまうということも問題です。
また、何より一番の問題は、セラピスト自身が吃音を改善したという経験者ではない
場合がほとんどだということです。
非吃音者には理解し難い吃音の奇異な性質や、それに伴う苦しみを
知らないセラピストに、本当の改善指導ができるわけがありません。