抗うつ薬などの薬物療法は、確かにうつ病の治療には必要であり、
一定の成果を上げています。

 

この背景には、「モノアミン仮説」と言われている考え方に基づき、
多くの薬が開発されたという事実があります。

 

モノアミン仮説とは、隣り合う神経細胞同士のつなぎ目のシナプスと
呼ばれる場所で、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質
(これらを総称してモノアミンという)が減っている事が
うつ病の原因と捉え、それらを増やす事で抗うつ効果が得られるとする考え方です。

 

モノアミン仮説で、うつ病の全てを説明できるとするならば、
SSRIやSNRIなどの、シナプスでのセロトニンやノルアドレナリンを
増やす薬を使えば、その効果はすぐに表れるはずです。

 

しかし、実際には、うつ病の患者さんがこうした薬を服用した場合でも、
症状が改善しはじめるまでには、2週間ほどかかるといわれています。

 

さらには、うつ病で休職した人が、仕事に復帰するまでには
最低3ヶ月ほどはかかる事になりますし、
もとの業務処理能力を回復するまでには、復職後6ヶ月から1年ほどは
かかるといわれています。

 

このように回復までには、非常に多くの時間がかかってしまいます。
薬を飲んだだけでうつ病が改善するなら、
これほど多くの時間がかかるはずがないです。

 

このような復帰までの長い時間を考えると、
モノアミン仮説だけでは、説明ができないというのも事実のようです。